「水の恵みを識る」

鶴雅グループの各施設は、良質の温泉、そして湖や清流など、水の恩恵を受けながら存在しています。私たち人間の体の70%は水でできていると言われるように、水は生命の源、そして自然が与えてくれた贈り物です地中深くから湧き出る水には、それぞれ個性があります。澄んだ飲み口、ほのかな甘さ…。旅の途中、心を潤すように、恵みの湧水を味わってください。

 

ワッカの水【北見市常呂】

ワッカとは、アイヌ語の「ワッカ・オ・イ」、〈水が・ある・ところ〉が語源です。オホーツク海とサロマ湖という塩水と塩水の間のわずかな砂州の中に、こんこんと清らかな真水が湧き出る不思議な泉、「ワッカの水」があります。この泉の存在が、地名の由来となっているのです。そしてワッカの水こそが、太古の昔から原始の花園を美しく潤し、さまざまな動植物の命を育み続けてきたのです。まるで「この地は誰も手をつけてはならない」と、神様から与えられた奇跡の水と言えるでしょう。泉の水は、私たち人間にもほんの少し分け与えることを許されたようです。一口ふくんでみましょう。ふわっと甘味のある、まろやかな口当たり…。素晴らしい自然を育んできた命の水を全身で感じてください。

 

支笏湖の水【千歳市支笏湖】

今からおよそ4万年前の火山活動でできたカルデラ湖が支笏湖。その後も周辺の山々の火山活動によって、現在のようなひょうたん型の深い湖ができ、その神秘的な美しさは訪れる人々の心を魅了します。日本で第2位の水深でありながら透明度がとても高く、水面下には「柱状節理」と呼ばれる険しい崖のような光景を見ることができます。火山活動による火砕流が湖水で急速に冷やされてできたものです。人間がむやみに入ることを拒むような光景が支笏湖ならではの幻想的な美しを創っています。また、支笏湖は、近年の水質調査でも全国1位を誇っています。しかし、その清らかさゆえに、生息している魚はヒメマス(チップ)を始めとした限られた種だけと言われています。

 

甘露の水【ニセコ町】

ニセコの山に降り積もった雪が豊かな森林、山々の岩に染みこみ、時間をかけて山裾に湧き出てきます。その中の一つがニセコの入り口、昆布温泉の近くにある間欠泉に湧き出る「甘露水」です。昭和29年に昭和天皇が戦後復興の北海道ご巡行され、ニセコにご滞在の際この湧水をお召し上がりになり、「甘露である」とのお言葉があったことから名付けられました。現在でも湧出量が1日約1400トンと豊富で、ニセコ町内の飲食店の方も汲みに来るとか。間欠泉なので、時折高く吹き出すと水浸しになるかもしれません。そんな自然のユーモラスな姿も、また多くの人に親しまれているのです。ニセコ名水と言われている甘露の水は、その名の通り、まろやかでほのかな甘味のある優しい口当たりが特徴です。

 

阿寒百年水【釧路市阿寒】

アイヌ語で「マチネシリ」と呼ばれ、数々のアイヌの伝説が生まれた山、雌阿寒岳(標高1499m)。現在も活動している活火山ですが、山裾には静かな針葉樹の原生林が広がり、1000mからの一帯は可憐な高山植物が姿を現します。その雌阿寒岳に降り注いだ雨雪を豊かな原生林が吸収し、100年近くの歳月をかけて地上に湧き出た水が流れとなって阿寒湖に注いでいます。そのひとつがチップ川。阿寒湖畔の水源です。気の遠くなるような年月、原生林に吸い込まれた水は、阿寒の自然にじっくりとろ過されながら、ミネラル分を豊富に蓄えて湧出、その年月の長さに思いを馳せ「阿寒百年水」と名付けられました。現在も国立公園の保護区内となっている原生林、静かに呼吸しながら自然の輪廻を繰り返す森が育んだ水です。空からの雫の長い長い旅に思いを巡らせてみませんか?水の向こうに見える阿寒の森が語りかけてくる声が聞こえるかもしれません。