海岸に湿地に、そして高山に妖精たちがとりどりに咲く。

ひがし北海道は、その広大なエリアに、長い海岸線や数々の湿地や山岳地を従えています。3月下旬。雪を割ってフクジュソウの黄色い花が顔を出すと、いよいよ遅い春の到来。それぞれの地に適応する植物がいっせいに色彩をちりばめ始めます。4月中旬になると湖畔や湿地ではミズバショウが咲き、森ではカタクリやニリンソウがかわいらしい姿を見せてくれます。そして5月上旬からは、エゾヤマザクラや寒冷の地にも咲くチシマザクラが野山を春色に染め…。初夏を迎えると高山ではコマクサやイワギキョウが。空と海を仰ぐ海岸草原では、初夏を待ちわびたエゾスカシユリやヒオウギアヤメ、ハマナスなどがとりどりに咲き始めます。こうした「原生花園」はひがし北海道に約30カ所もあります。人知れず凜と咲く花、可憐にほほ笑む花。絢爛豪華に咲き競う花もあります。それぞれの地に香る、そよ風を感じてください。

[写真上:エゾスカシユリ]
ワッカ原生花園のエゾスカシユリ群落。ほか、小清水原生花園や斜里・以久科原生花園などでも群落が見られます。

[写真下:ニリンソウ]
春の山を歩くと林床に咲く「ニリンソウ」を見ることができます。