松浦武四郎、前田正名に思いを馳せて 阿寒の古道を歩く

 

その昔、蝦夷地を探訪した松浦武四郎、前田一歩園の創始者・前田正名、

そしてアイヌの人々が歩いた道を時空を超えて辿り、

先人達が感じたものを体感しよう…

そんなロマンあふれる「阿寒クラシックトレイル」が始動。

市民団体・阿寒クラシックトレイル研究会が生まれ、

新たな観光資源としても活用しようとさまざまな取り組みが行われています。

同研究会のメンバー、郷右近好古さんにお話を伺いました。

 

かつて人、モノが行き交った道を時空を超えて再現

かつて蝦夷地と呼ばれた北海道を歩いた松浦武四郎、そして全国を行脚し阿寒湖畔に居を構え阿寒湖をはじめ道東の発展に尽力した前田正名が歩いたルートを数年前から調査・研究していました。現在の阿寒本町から阿寒湖までの鉄道跡、農道や林道が、二人が歩いたと想われるルートと一致する部分も多いことに着目。約60㎞を「阿寒クラシックトレイル」と命名して、これまで地元の方々が参加できるイベントとして開催してきました。古道をゆっくり歩き、自然やアイヌ文化を大切に見守ってきた二人は、どんな風景を見て何を感じたのか…。とても興味深いツアーの枠組みができつつあります。

 

のどかな風景から山へ、湖へと続く3つの「道」

全長およそ60㎞のうち、半分を占めるのが「里の道」と呼ぶ田園風景が広がる道です。雄別炭鉱の鉄道跡や林道を雌阿寒岳を眺めながら歩くルートです。次に「川の道」は、山に入っていくようなイメージで、まりも国道〜阿寒川添いを進む10㎞程のコース。松浦武史郎が歩いた場所を追体験できるワイルドなルートです。そして最も変化に富んだルートが「山湖の道」で、雌阿寒岳に登って阿寒湖を眼下に望み、阿寒カルデラの外輪から内側へと入ります。あまり知られていない絶景ポイントで休憩し、滝口の手前に降りてきて大島の近くから船に乗って湖を渡ります。武四郎も丸木船に乗ったのではないでしょうか。

 

「阿寒を歩きに行こう」。阿寒の旅の新しい理由。

アイヌコタン、湖、温泉…。これまで阿寒は湖畔に宿泊し、その滞在時間を楽しむスタイルが多かったように思います。「阿寒クラシックトレイル」は、阿寒湖畔に向かって歩きながら周囲の歴史、産業、暮らし、文化を学び、感じられる新しい観光のスタイルとも言えるでしょう。阿寒に行く理由が「歩きに…」。これまで阿寒に来た人も、これから来る人にも新しい阿寒湖への旅の理由となればいいですね。今、ガイドプランを作成中で、地域ガイドも育成中です。阿寒の豊かな自然をじっくり時間をかけて楽しんでもらいたいと願っています。

 

郷右近好古さん。湖畔でアイヌ料理の店「喫茶ポロンノ」を奥様と一緒に開いている。

多くの人が阿寒のファンになってリピーターとなるようなきっかけ作りをと、

アイヌ文化と阿寒湖の情報を全国へ向けてさまざまな形で発信している。
問い合わせ/阿寒クラシックトレイル研究会
TEL 090-9750-7450090-9750-7450 (塩さん)