ここは「ばんえい競走馬」の人気オープン馬、 「ミサイルテンリュウ」の故郷。

阿寒町・稲場牧場を訪ねて。
「ばんえい競走馬」の
人気オープン馬、
「ミサイルテンリュウ」の故郷。

現在ランキング2位の「ミサイルテンリュウ」。高勾配が得意な負けん気戦士です。青年時代は、練習中にライバル馬を見つけた時には、遠くから威嚇をしに突進していったという逸話も…。 頂点の馬たちだけが出場できる栄光の「ばんえい記念」で、ぜひ勝ってもらいたい!

 北海道には、「ばんえい競馬」という競馬レースがあります。これは、サラブレッドの約2倍もある大きな馬が、500キロから1トンまでの重い鉄ソリを引いて競うもの。コースは200メートルの直線で、途中2カ所に障害(勾配)が設けられおり、懸命にソリをひく雄壮さは感動的です。かつて北海道の開拓期では、農耕馬たちが働いてこの大地を切り開きました。ですから力自慢のおらが馬は農民たちの自慢で、村々でお祭り競馬が行われたことが「ばんえい競馬」の由来です。現在「ばんえい十勝」で優秀な戦歴を記すオープン馬(最高クラスに所属する馬)に、「ミサイルテンリュウ」という馬がいます。現在ランキングは2位。 障害が高いコースほど強さを見せつけることでファンも多い、「ミサイルテンリュウ」が生まれた故郷を訪ねてみました。

 浅き春。釧路市阿寒町の「稲場牧場」は出産ラッシュの真っただ中で、牧場主の稲場洋二さん(51歳)にとって最も忙しい季節です。稲場さんは3代目で、ばんえい競馬の生産者となったのは今から12年ほど前。ばんえいの競走馬になるには、厳しい能力検査に合格しなければならず、それは1200頭の登録馬のうち230頭ほどしかクリアできない狭き門。しかもオープン馬にまで上り詰めるとなれば、それはほんの一握りの馬だけです。「これまでばんえいに送り出してきた多数の馬の中でも、『ミサイルテンリュウ』は特に素質や飼育・調教に恵まれていたのでしょう。今年で10歳。来年は引退でしょうからね…」と言う稲場さん。人間ならば50歳になろうかという10歳馬ですから、体力も衰えてきています。でも、持ち味である「負けん気」は健在。今年3月29日(日)に開催される最高峰レース、「第41回ばんえい記念(BG1)」では悲願の優勝を…。そう心の中で、稲場さんは願っているはずです。稲場さんは時々厩舎を訪ね、自ら生産した馬に会う機会があるので、「ミサイルテンリュウ」ともたびたび再会しています。「会えばお互いなんとなく通じ合うものがありますよ」と稲場さん。自分の手の元で生まれた馬はいつまでもかわいくて、そして活躍は喜びなのです。阿寒のふところで生まれたベテラン・アスリートよ、頑張れ!

ばんえい十勝に行ってみよう!

3月のレース開催予定

14・15・16日、 21・22・23日、
28・29・30日。

※「第41回 ばんえい記念」は29日11レース目17時15分出走
※次年度のレースは4月25日から開催。
※入場料100円、馬券100円。

「ばんえい十勝」
帯広競馬場:帯広市西13条南9丁目 TEL:0155-34-0825(代)

阿寒町で「稲場牧場」を経営する稲場洋二さんと奥様の敦子さん。これまで、ばんえいの「優良生産者賞」など多くの賞を受賞しています。現在はばんえい馬のほか、ハーフリンガー種も生産。

稲場牧場に帰って来ている「ミサイルテンリュウ」の母馬、「カネイドリーム」。

稲場牧場では一般の人が牧場内に入る事はできませんが、5月半ば以降は放牧を行うので、道路わきから馬を見ることができます。
稲場牧場:釧路市阿寒町富士見3-18-3