冬に出会える 北の動物たち

オホーツクに流氷の便りが届く頃、サロマ湖にも渡り鳥たちがやって来ます。
サロマ湖周辺は、北にオホーツク海、南と西に山がある変化に富んだ地形が豊かな自然環境を作り、
多くの動物たちが冬を越し命をつなぐ場所でもあるのです。


冬だからこそ出会える動物たち、サロマ湖の宝物

「鳥類は環境が多様であるほど生息できる種類が増えますね。サロマ湖周辺は、一年を通して多くの種類が見られますが、冬は渡りも増えこの時期ならではの楽しみもありますよ」春から秋までワッカネーチャーセンターのスタッフとして、また冬には野鳥ウォッチャーとしてサロマ湖の自然を見続けている青木正 さん。「サロマ湖は渡りの水鳥の中継地ともなっているようなので、オオハクチョウが多く見られますね。カモ類も賑やかですよ」冬のサロマ湖は、青木さんの好きな風景をたくさん作りだしてくれると言います。「雪原の白に良く似合うオオワシやオジロワシも姿を見せてくれます。オオワシはオホーツクや知床周辺でも多く見られます。また、オオワシは越冬のためにたくさん飛来して、流氷に乗っていたりもしますね。周辺にはエサになるものが多いのだと思います。そういう豊かな自然が一年を通じて動物たちの命を育んでいるんですね」オオワシ、オジロワシはいずれも天然記念物であり、希少野生動植物にも指定され、国際的に保護されている種でもあります。羽を広げると2メートル以上にもなる大きな鳥が、オホーツクの空と海を背景に、そして時に流氷の上で羽を休める姿を青木さんは長い年月見続けてきました。「オオワシは嘴と足の黄色い部分が特徴、オジロワシはオオワシよりその名の通り尾の白い部分が多いですね。両方を見ることができるのも、冬のオホーツクならでは。宝物です。ですが、その数は減っているのでは?と感じますね」と危機感を抱く青木さん。「例えば、フクロウの姿は何年も見ていません。生息できる場所が減ってしまったのではないかと思われます。自然がこんなに豊かだと思っていても、私たちが気付かないわずかな環境の変化でも動物たちに影響を与えているのでしょう」

 

冬の動物たちが見せてくれる命の営み

サロマ湖周辺では、冬の毛に衣替えした動物たちにも出会えます。「黒っぽい毛になったエゾシカ、ふかふかのキタキツネなど、冬の動物も美しいですね。流氷の上でひなたぼっこをするアザラシも、湖岸から見えます。白一色のオホーツクの冬に色彩をプラスしてくれる動物たちは、厳しい冬にも生命力に溢れていますね」サロマ湖、オホーツク海、そのむこうの海へと向かう青木さんのまなざし。深く優しくサロマ湖を愛しているのがわかります。「厳しい冬が、サロマ湖やオホーツク海は美味しい恵みを与えてくれます。そして巡りくる春へのエネルギーをじっと蓄えている気がするのです」雪と氷に閉ざされているかのような冬こそが命を育む季節でもあるのでしょう。多くの動物たちが見せてくれる命の営みを感じてみませんか。