1977年生まれ、北見市常呂在住。中学2年からカーリングを始め、翌年には全日本ジュニア選手権で優勝。世界ジュニア選手権では1996年に7位、1997年に4位。北海学園北見大学在学中の1998年、冬季長野五輪大会でカーリング日本代表の主将を務めました。その後、自らカーリング選手として活動を続けながら、ジュニアチームの指導にあたるなど地元常呂のカーリング選手育成にも尽力してきました(※1)。
2009年日本カーリング選手権大会でのワンショット。敦賀さんは、中学2年でカーリングに出合うまで、野球やスピードスケートを続けていたスポーツマン。ところが友人と初めて体験したカーリングの奥深さに驚き、敦賀さんのカーリング人生が始まりました。
日本に「カーリング」というスポーツと、カーリングのメッカである「常呂町」の名がにかに周知されたのは、
今から13年前。1998年の冬季長野五輪大会のことでした。
その時、20歳という若さでカーリング日本代表チームのスキップ(主将)を努め、
日本中の応援と世界の注目を浴びた敦賀信人(つるが まこと)さんは、今も変わらず故郷の北見市常呂で暮らしています。
漁師として、カーリング選手として。それが敦賀さんにとって、もっとも自然な生き方でした。
「カーリングを始めて、もう20年になります」。開口一番、朗らかに言う敦賀さん。長野五輪で見せた、さわやかな笑顔は変わらないものの、その素顔は33歳らしく頼もしげで…。冬はカキ漁、春からはウニ漁やホタテ漁を行う日焼けの顔が、オホーツクでの暮らしを思わせます。毎朝6時から午後3時頃まで漁を行い、そしてそのまま午後4時から「常呂カーリングホール」へおもむき6時まで練習。そして夜7時からリーグ戦が始まり、ゲームが終わるのは夜10時。現在、敦賀さんが主将を努めるチーム「アイスマン」は、ほかのメンバーも同じ常呂で漁業や農業を担う若者たち。
「僕も含め、全員、第一次産業の後継者です。仕事の責任も負っているので、カナダなど海外の強化合宿に参加するのは難しいです。その点、ライバルである世界の代表チームに比べたら、練習量に制限があるなどハンデはあるかもしれません。でも、僕たちが家業を大切にしながらカーリングも頑張ることで、第一次産業の仕事を頑張っている人たちの励みになれば、と…。そんな思いもあります。そのためにも、勝って結果を出さなくては。結果を出さなければ、評価されませんからね」。
昨シーズンは、敦賀さん率いる「チーム常呂(※2)」が「日本カーリング選手権大会」で優勝し、勢いに乗って今シーズンを邁進しています。目指すのはソチ五輪。「その切符を得るために、今シーズンから1戦1戦を大切に戦っていきます」と、揺るぎない意志を見せる敦賀さん。そのスタートである、「パシフィックカーリング選手権大会」が、11月15日から23日まで韓国で開催されていました。
6カ国が火花を散らしたこの世界大会で、日本代表である「チーム常呂」は上位入賞こそ逃したものの、大きな経験を積みました。五輪など世界大会を知るのは敦賀さんのみで、ほかのメンバーは19歳から25歳と若く経験も浅かったのです。だからこそ、他国の代表チームと戦った経験は何よりも貴重。2011年1月には「軽井沢国際カーリング競技大会」が。そして2月には「日本カーリング選手権大会」が待っています。
「僕は、常呂のまちに育ててもらいました。人間としてもカーリング選手としても。五輪を経験できたのも、カーリングを練習できる環境や指導者に恵まれていたおかげです。だから常呂に恩返しをしたい」。その気持ちがあるから、若いメンバーを引っ張って、今日も「常呂カーリングホール」の氷上に立つのでしょう。
「このカーリングホールが一番、落ち着きますね。現在、常呂には小学生チームも含めると、全部で50以上のカーリングチームがあります。だから、冬はここに来たらいろんな人に会えますし、とにかく一番あったかい場所です」。そう言って、敦賀さんはいつもの笑顔を見せました。生まれ育った大好きなまちから再びの五輪を目指す。その表情は清々しさに満ちていました。
敦賀さんのほか、トリノ五輪やバンクーバー五輪で活躍した本橋麻里選手もここで練習をしています。
敦賀さんの練習や試合を見るなら「常呂カーリングホール」へ
常呂カーリングホール
北見市常呂町字土佐2-1 TEL:0152-54-1099
■開館時間:月~金曜13時~22時 土曜10時~22時 日曜・祝日10時~17時
■開館期間:3月31日まで ■休館日:月曜(祝日の場合は開館)、年末年始
(※1)2010年度は敦賀さん自身が全日本の代表選手になっているため、規定に従い他チームの指導を休止しています。
(※2)メンバー構成は「アイスマン」と同じですが、全日本以上の大会に出場する場合は、規定により地域名を冠した「チーム常呂」としてエントリーしています。