語り部たちの素顔 その19民芸店経営 岩渕敏行さん

あかん遊久の里 鶴雅
語り部の集い

民芸店経営
岩渕 敏行さん

今夜は阿寒湖畔で生まれ育った岩渕さんが、
阿寒湖のマリモについて
貴重なお話をしてくれました。

岩渕 敏行さん

阿寒湖のマリモは、ある特別な環境下で年に4センチくらい成長している!?

「現在国の特別天然記念物となっている阿寒湖のマリモは、120年ほど前に阿寒湖の西、シリコマベツ湾で発見されました。その後シリコマベツのマリモは絶滅してしまい、現在はチュウルイ湾など2カ所でのみ生息しています。120年前に発見されたばかりですから、その生態もしばらく謎のままでしたが、近年、マリモの生態が解明されてきました。
 阿寒湖には直系30センチもの大きなマリモが数百個も生息しておりまして、これまで直系が10センチ成長するためには100年、いや200年も掛かるのではないか? と、そういわれてきましたが、最近は新事実が分かってきまして、ある条件が整った環境では10数年から20年程度で直系30センチくらいに成長するとも考えられるようになりました。もともとマリモは淡水と海水が交わる場所で暮らしていたと考えられています。では、汽水湖ではない阿寒湖でなぜマリモが生育したのでしょう? それは、海水に変わる何かがあったためだと考えられます。それは温泉。阿寒湖の湖底には温泉が自噴する場所があると考えられます。ですからそういう場所にはナトリウムイオンやカルシウムイオンが存在し、そこのマリモは1年間に4センチほども大きくなるのではないかと推測されています。
 マリモは光合成をして生きていますので、阿寒湖が汚れて太陽の光が届かなくなるとマリモは枯れてしまいます。また、最近、外来種のウチダザリガニがマリモを食べるという事実も発見されました。私たちは自然環境を映すマリモを守っていかなくてはなりません。旅行者の皆さんと一緒に守っていきたいのです」