「さぁ、『黄金バット』の始まり始まり~」。威勢の良い口上で集まった人たちを瞬時に引き込む小笠原さん。子供には新鮮で大人には懐かしい「昔」がよみがえるひとときです。
歓声や笑い、時には対話も交えながら繰り広げる約15分の紙芝居劇が終わると、今度は飴細工の実演。赤、青、黄色の飴を切って伸ばすと2~3分で馬やネコ、ペンギンなどの出来あがり。「キティちゃんを作って」とリクエストの声が上がると、「はい、それいきましょう」と。この語り口や風情も、昔ながらの飴細工師そのままです。
「自営する駄菓子店の目玉に、と5年前に札幌の街頭紙芝居師に弟子入りしたのがきっかけ。今は日本の伝統文化を伝える、という使命で奔走しています」。そう話す小笠原さんは、集まってくれた人々のざわめきや目の輝きが、何よりもうれしいのです。