自然界を崇め感謝して生きるアイヌが教えてくれること。

「アイヌ」とは「人間」の意味。アイヌの人々はアイヌ(人間)たることを誇りとしていますから、子どもを諭す時などは、「そんな悪いことをしたらアイヌではなくなってしまうぞ。
ウェンペになってしまうぞ」と言います。
 そしてアイヌの人々の最大の使命とは、「自分の命を生き抜くこと」。
自分に与えられた命は自分だけのものではなく、先祖が代々必死に生き抜いて繋いでくれた命。しかも、何世代もの間、動物や植物など自然界のあらゆる命を得て繋いできた生なのだから…。
 すべてのものにカムイ(神)が宿ると考えることもアイヌの人々の精神です。
火も水も食べ物も、すべてが自然界からの賜り物。そう感謝をして必要な分だけを受け取る。その考えは私たちがたびたび口にする「エコロジー」だとか「食育」などの言葉にも通じます。
 アイヌの人々は文字を持たず、大切な教えや出来事は「ユーカラ」という叙事詩によって伝えてきました。
毎夜、囲炉裏に家族が集まり、誰かがユーカラを語り出すと、皆は歌い踊ります。
フチ(祖母)は囲炉裏の灰に棒で伝統のアイヌ文様を描き、ポンメノコ(少女)に教えます。
たくさん文様を覚えて上手に刺繍ができるようになったらお嫁に行けるよと、ほほ笑みながら。

[写真上]
アイヌの人々は神々に感謝を捧げさまざまな儀式を執り行います。

[写真下]
アイヌ文様は魔除け。着物のそで口やえり口、すそ、背中などに刺繍されます。

知床五湖
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