日本でもっとも大きく美しい鳥、タンチョウが舞う雪原。

 青く澄み渡る冬空に、白と黒の大きな翼がはためく――。その優雅な光景はどこまでも清々しく感動的です。タンチョウは現在おもに、11月から3月にかけて阿寒国立公園や釧路湿原国立公園など釧路管内にある各観察スポットで見ることができます。
 今でこそ、タンチョウは釧路エリアの冬の風物詩ともなっていますが、明治後期ころ、日本のタンチョウは姿を消し、絶滅したと思われていました。ところが1950年(昭和25年)のある冬、上阿寒地区にある故山崎定次郎さんの畑にタンチョウが舞い降りました。絶滅したはずのタンチョウが目の前に…。山崎さんは驚き、何日も貴重なトウモロコシを畑にまき、やっとの思いで給餌に成功。これがタンチョウへの初の人工給餌だといわれています。山崎さんの給餌活動は亡くなるまで続けられ、没後は長男が引き継ぎ、そして山崎家の隣には現在、「阿寒国際ツルセンター グルス」や「タンチョウ観察センター」が開設されています。そして絶滅の危機にあったタンチョウは、地道な保護活動により、ひがし北海道域で約1,300羽が確認されています(2011年現在)。

[写真上:タンチョウの飛翔]
1952年(昭和27年)に国の天然記念物に指定された「釧路のタンチョウ」。早春に釧路湿原など、ひがし北海道各地の繁殖地へ戻り5月には雛ががかえります。そして冬が来ると再び、阿寒町や鶴居村、釧路湿原などの越冬地で暮らします。

[写真下:タンチョウの親子]
幼鳥を連れた親子3羽の姿が微笑ましい。しかし2月から3月は悲しい子別れの季節。親鳥は若鳥へ威嚇をしたり、給餌場に置き去りにするなどして若鳥の独立を促します。

タンチョウの飛翔
タンチョウの親子

阿寒湖温泉街からアクセスらくらく阿寒・釧路エリアのタンチョウ観察スポット

・冬のタンチョウ観察マップ(PDF形式)

阿寒国際ツルセンター グルス

通年型のタンチョウ観察施設。展示施設も充実しており解説員の説明も受けられるおすすめ施設。
・施設/屋内・屋外
・開設期間/通年
・休館日/4~10月は毎週月曜、11~3月は無休
・営業時間/9時~17時
・観察期間/通年
・給餌時間/14時
・飛来数/約150羽
・住所/釧路市阿寒町上阿寒23線40番地
・問い合わせ先/TEL0154-66-4011

鶴居・伊藤サンクチュアリ ネイチャーセンター

(財)日本野鳥の会が保護活動を行っているサンクチュアリ。タンチョウの話しを聞くことができます。
・施設/屋内・屋外
・開設期間/10~3月
・休館日/毎週火曜・水曜(屋外のタンチョウはいつでも見学可)
・営業時間/9時~16時30分
・入場料金/無料
・観察期間/11~3月
・給餌時間/9時
・飛来数/約200羽
・住所/鶴居村字中雪裡南
・問い合わせ先/TEL0154-64-2620

鶴見台

タンチョウの給餌人の渡部トメさんが管理する飛来地。給餌の様子とタンチョウの姿を間近で見られます。
・施設/屋外(冬季のみの見学場所)
・入場料金/無料
・観察期間/11~3月
・給餌時間/8時30分、14時30分
・飛来数/約200羽
・住所/鶴居村字鶴見台

音羽橋

冬季の雪裡川はタンチョウのねぐら。川の中で休むタンチョウの姿は、周囲の樹氷とともに幻想的。
・施設/屋外(冬季のみの見学場所)
・入場料金/無料
・観察期間/11~3月
・住所/鶴居村音羽橋

釧路市丹頂鶴自然公園

園内に営巣する放飼タンチョウを年中見学でき、初夏には雛を見る事もできます。土日祝日はガイド解説有り。
・施設/屋内・屋外
・開設期間/通年
・休館日/年末年始
・営業時間/4月20日~1体育の日は9時~18時、
 体育の日の翌日~4月19日は9時~16時
・入場料金/大人460円、中学生・小学生110円
・観察期間/通年
・飼育数/18羽
・住所/釧路市鶴丘112
・問い合わせ先/TEL0154-56-2219