変わりゆく阿寒湖温泉・変えようとする人たち その3今年5月、阿寒湖はフライフィッシングの聖地になる。

桶屋 潤一さん

阿寒湖漁業協同組合 理事

桶屋 潤一さん

今から20年も前…。全国のスポーツフィッシング・エキスパートたちが、たびたび阿寒湖を訪れていました。その中には、日本を代表するプロアングラーでフィッシング・ジャーナリスト、故西山徹さんもいました。阿寒湖を愛し、たびたび訪れる西山さんと知り合い、同時に西山さんから影響を受けて、地元阿寒湖とトラウト(マス)の魅力を改めて知る阿寒湖畔の人もいました。そうした人物が、桶屋潤一さん。阿寒湖と阿寒川を世界水準のスポーツフィッシング・フィールドにするため奔走した中心人物です。日本に前例のなかったキャッチ&リリース規則を、阿寒川に初めてエリア設定したことでも全国から注目されています。

日本初のC&R法制化。
そこから阿寒湖の可能性が広がって。

「自分も含め地元の人間が、阿寒湖の魅力を知らなかったんだよ」と言う桶屋さん。阿寒湖漁業協同組合の理事として遊魚担当になった時、「どうしたら遊魚事業を繁栄させることができるか?」が課題でした。それを西山徹さんに相談すると彼はこう言ったそうです。「簡単だよ。キャッチ&リリースにしたらいい。そうしたら魚が増えて遊魚人口は増える。阿寒は素晴らしいトラウトカントリーになる」と。そうはいっても、当時の水産法では遊魚規則を設定することができない。それでも3年の間、地元有志らの協力を得て、「キャッチ&リリースによって、これだけ魚を保全できる」というデータを蓄積し、遊魚規則設定の知事認可を得たのです。そうして2003年に実現した日本唯一の遊魚法制。規則設定エリアは阿寒川上流の一部で、阿寒川の遊魚期間は5月1日から10月末。阿寒湖は同日から11月末まで。そて、エサ釣りは禁止。フライもルアーもバーブレスフック(かえしのないフック)でルアーはシングルフックがルール。これはリリースする魚を傷つけない配慮です。

地元阿寒の人たちにも、
フィッシングを始めてもらいたい。

 こうしてスポーツフィッシングのフィールドとして日本有数の環境に整えられた阿寒湖と阿寒川。桶屋さんの次の目標は、阿寒湖畔をフライフィッシングの聖地として育て上げることでした。そしてついに、7年前から関東を拠点に行われてきた大イベント「フライフィッシングフェスタ2008」の舞台を、この阿寒湖畔に誘致したのです。NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構や阿寒湖温泉旅館組合、阿寒湖漁業協同組合が一丸となってバックアップする同フェスタには、全国からたくさんの出展社とフライフィッシングファンが訪れるでしょう。桶屋さんが言います。「これを機に地元の人もフライフィッシングを始めてくれたらいい。自分もそうだったけども、ここでフライフィッシングをすると、阿寒湖がいかに素晴らしい環境に恵まれているかが分かるから」。阿寒湖のアメマスが最もエキサイティングな5月15日から20日のワンウイーク。阿寒湖が新たな一歩を歩み始めます。

これまで都市のイベント施設で行われていた「フライフィッシングフェスタ」が、実際のフィールドで行われるとあって注目度も上々。

フェスタ開催時期は、秋に産卵したアメマスが最も接岸します。

フライフィッシングフェスタ2008

日時:5月17日(土)・18日(日)、9時~16時  場所:阿寒湖温泉街中心部駐車場【入場無料】
問い合わせ先:NPO法人阿寒観光協会 TEL:0154・67・3200

ビギナー向け併設イベント(NPO法人阿寒観光協会主催)
5月15日(木):「やさしいフライフィッシング」13時~15時【参加無料】エキスパートに習うことができるチャンスです。
5月16日(金):「阿寒の森と昆虫たち」エコミュージアムセンターにて10時~12時・13時~15時【参加無料】
5月15日(木)・16日(金)・19日(月)・20日(火):
「さあ~釣りに行こう」5時~10時・13時~17時【有料】阿寒を熟知したガイドと釣りを楽しめます。