変わりゆく阿寒湖温泉・変えようとする人たちその1阿寒湖温泉は、これからの3年で生まれ変わる。

阿寒湖温泉は、これからの3年で生まれ変わる。
世界レベルのリゾート地になるために、
今、進み始める。

NPO法人
阿寒観光協会まちづくり推進機構

理事長 大西 雅之

大西 雅之

豊かなる森や湖、マリモなど、天与の自然を有する阿寒湖温泉。しかし、その魅力はありのままの自然や景観だけではありません。住む人にも、訪れる人にとっても素晴らしいまちであるよう、新しい試みを行う人たちがいます。阿寒湖温泉街のムーブメントと人を紹介する、このシリーズの第1回目と2回目には、「NPO法人 阿寒観光協会まちづくり推進機構」に今年6月から理事長就任した大西雅之が登場します。鶴雅グループの社長でもある大西が、まちづくりリーダーとしての気を吐きます。

阿寒湖温泉に眠る魅力は偉大。その魅力を磨き上げ、観光地のグレードを上げる。

 阿寒湖温泉は、今年から3年の間に変わります。どう変わるかをお話しする前に、この再生プランがなぜ、どうのような巡り合わせで生まれたのかを少々お話ししましょう。それはもう20年近く前のことです。知床で開かれた女将会で講演されていた、観光シンクタンクの大御所・原重一氏(※)と出会えたことがそもそものスタートでした。折しも団体旅行が減少し始め、どうすべきか…と模索していた時です。阿寒湖温泉街の重鎮たちに向かって原先生は、「あなたたちは、いったい何人のお客様が来てくれたら満足するのか。数を追い求めれば求めるほど、大切な多くのものを失うのだよ」と、熱く語ってくれたのです。
 まさしく、不況と個人旅行の時代が始まっていた時に、衝撃的な天啓でした。私たち観光関連事業者は、個々ホテルとしてではなく、皆で観光地の質とグレードを上げなくてはならないと、やっと目覚めたのです。すぐに「阿寒湖温泉まちづくり協議会」が創設され、2005年には観光協会と合併しNPO法人となりました。

(※)=原重一氏は「原重一観光研究所」の主宰者。過去には、(財)日本交通公社勤務や立教大学大学院教授、日本観光研究会会長などを歴任している。

プロジェクトのキーは3つで、
その中の一つが、アイヌ民族文化。「イオマンテの火まつり」から変わる。

 2003年に策定されていた「阿寒湖温泉再生プラン2010」。このプランに沿って、今年から阿寒湖温泉は大きく変わり始めます。プロジェクトの柱は3つです。今年から平成21年までの3年間に、毎年一つずつ、柱を昇華させてゆきます。まず今年から、阿寒湖温泉の宝であるアイヌ文化を大々的に発信します。プロジェクトの柱の一つとは、アイヌ民族の崇高な精神や芸術、生き方…。それらに触れたなら、誰もが心を浄化されるはず。この素晴らしき文化こそ、阿寒湖温泉の核となるのです。
 10月10日から始まる「イオマンテの火まつり」をスケールアップすることが、第一歩。このロングランイベントに、当NPO法人は約6千万円の予算を投入する予定ですが、そのうちの約1千150万円は地元の皆様からの寄付によるものです。本当に、ありがたい。釧路空港や地元銀行、企業、個人。たくさんの皆様が、ご寄付に阿寒湖温泉の再生を託してくださいました。まちを元気にするには、まず、自らが立ち上がらなくてはなりません。2007年の「イオマンテの火まつり」から変わる、阿寒湖温泉。ぜひ、その変化を見てください。エネルギーを感じてください。