オホーツク暮らしびと その3常呂町のおだやかな海と、素朴な言葉が旅人を迎える。「しゃべりたい」思いが交差する場所。

宇左美 良昭さん

cafe しゃべりたい オーナー

宇左美 良昭さん

一見、怖そうな風ぼうですが、常呂町の海のようにおだやかな人。趣味は木工制作で、時間を見付けては店や自宅を直したりペンキを塗って過ごします。店内の造作もほとんど自分で行っています。

cafe しゃべりたい

南国のビーチにありそうな、軽やかな雰囲気のお店です。

cafe しゃべりたい
北見市常呂町字常呂204
TEL:0152-54-3942
営業時間:10時30分~21時
(ラストオーダー20時)
定休日:月曜
駐車場:3台(向かいの海水浴場駐車場も利用できます)

北見市常呂の初秋は、空も海も青く、さわやかな風が渡っています。
20年前まで湧網線常呂駅があった場所は現在、常呂交通ターミナル。
かつてはたくさんの旅人が、この海沿いの駅に降り立って、この場所からたくさんの出会いや思い出を紡いでいったのでした。
旧常呂駅のそばに、「カフェ しゃべりたい」がオープンしたのは昭和55年。
オーナーの宇左美良昭さんが、「旅人を出迎え、しゃべりたい」という思いから作った場所でした。

店内のテーブルはほとんど宇左美さんの自作品。人気のカレー各種はこだわりのスパイスが利いて、ボリュームも満点。〈海の幸カレー〉1,365円、〈カツカレー〉1,310円。

 今はもう、めったに見掛けなくなった、「リュックを背負い、日焼けとほこりで真っ黒になった旅人」。湧網線に列車が走っていたころは、こんな道外からの旅人たちがふらりと、「しゃべりたい」に入って来たのでした。観た風景のことや出会った旅人仲間の話しを聞きながら、宇左美さんも言葉を返す。毎年訪れる人や手紙を送ってくれる人。10年ぶりに家族を連れて再来する人もいます。そんな時はいつもと同じ調子で、「元気かい?」と声を掛ける宇左美さん。「みんな頼もしい社会人になっていてね…そういう姿を見るのはうれしいものだよ」。直接言葉には出さないけれども、宇左美さんの心の中には再会のうれしさがつのっているのです。
 常呂で生まれ常呂で育った宇左美さんは、札幌市の高校へ進学した後、そのまま札幌で喫茶店業界に就職。「高感度な人たちが出入りする繁華街のカフェだったから、毎日がめまぐるしくて、とても楽しかった。でも、ある時ふと、常呂町の海の色や気のいい人たちが懐かしくなったよね」。自らもバイクに乗って旅に出ては、地元の人と話しがしたくて知らない喫茶店に入り、そこのマスターと話すような気質。
 こうして、「常呂で海を見ながら、旅人としゃべる」、ゆっくりとした日々が始まったのでした。時代とともに旅人の風情は変わっても、やってくる旅行者へ向ける宇左美さんの眼差しや気持ちは変わりません。「人と人との繋がりって、いいものだよ。宝だよね」と言い、また来店客を迎えます。いつもの居場所。カウンターの中で…。

「しゃべりたい」は、常呂町出身の乙女たちが冬季オリンピックに挑む、実話をもとにした2006年のカーリング青春映画「シムソンズ」の中でも登場しました。
お店の名物メニュー〈流氷ソーダ〉630円も出演しています。